HISTORICAL PERSON · 778年没

ローラン (シャルルマーニュ伝説)

中世・ルネサンス文学でシャルルマーニュの聖騎士の筆頭として登場する人物。『ローランの歌』の主人公で、実在のローランは778年のピレネーの奇襲で戦死したブルターニュ辺境伯とされる。

生涯
778年没
死亡地
—
出生地
—
出典
世界地図
位置情報未登録

伝記

ローランは、中世・ルネサンス期の文学作品でシャルルマーニュの聖騎士(パラディン)の筆頭として登場する人物である。イタリアやフランスの武勲詩でも重要な活躍をし、12世紀の初めに成立した『ローランの歌』は、ロンスヴォーの戦いにおける最後の戦いを主題とする物語である。ただし、後に成立した武勲詩やルネサンス期の『恋するオルランド』『狂えるオルランド』などは、殆ど歴史に基づいて書かれてはいない。聖剣デュランダルと愛馬が、その名と結びつけて語られることが多い。

フランスに実在したローランについては、シャルルマーニュの廷臣で歴史家のアインハルトが記した『カール大帝伝』の記述しか残っていない。それによれば、シャルルマーニュが778年にスペインへ遠征した帰り道、ピレネーでバスク人の奇襲を受け、最後尾の後衛隊が全員戦死した。その中にブルターニュ辺境伯フルオドランドゥスがいたと記されている。名前と肩書きのほかは詳しいことが分からない。ブルターニュはケルト系のブルトン人の地であり、デュランダルの聖剣伝説は、同じくケルト系に由来するアーサー王のエクスカリバーとよく似ているとも指摘される。

伝説のローランは、史実かどうかは不明ながらシャルルマーニュの甥とされ、良きキリスト教徒としてイスラム軍と戦って戦死する。『ローランの歌』では、オリファンという角笛と、聖遺物によって祝福された破壊できない聖剣デュランダルを持つ。作中では知的なオリヴィエに対し、勇敢な人物として対比される。養父ガヌロンを和睦の使者に推したことから憎まれ、ガヌロンの裏切りによって、帰路の殿軍として40万のイスラム軍に2万の手勢で挑むことになる。角笛を吹けば本隊が救援に来るはずだったが、体面にこだわって拒み、全滅間近に吹こうとしたときにはオリヴィエから「今頃遅い」と非難された。それでも力の限り戦い、スペイン国王の右手首を切り落とすが、十二勇将は次々に戦死し、ローランも力尽きて倒れた。その直前、デュランダルが敵の手に渡るのを嫌って岩にぶつけて壊そうとしたが、壊れなかった。角笛を強く吹きすぎてこめかみの血管が破れたことを除き、彼自身が傷ついたという記述はない。

のちのイタリアでは、ローランはオルランドと呼ばれ、前日談が付け加えられた。ボイアルドの未完の『恋するオルランド』や、アリオストの『狂えるオルランド』が名高い。後者では全身が金剛石ほどの強度をもつ超人として描かれ、海魔オルクを力技で退治する。東洋の美姫アンジェリカに恋をすると、シャルルマーニュの帰還命令を無視して世界中を放浪し、同じパラディンのリナルドと剣を交えもした。恋が悲恋に終わると発狂して裸で放浪し、猛獣を素手で殺したが、アストルフォが月から持ち帰った理性を注入されて正気に戻る。作中では、神から与えられた力を異教徒との戦いに使わず女性を追ったことが神の怒りにふれたためと説明される。

ドイツではローラントは都市の「自由」の象徴となり、中世の終わり頃に多くの都市が広場に像を建てた。1404年建立のブレーメン市庁舎前の像は特に有名で、2004年に市庁舎とともにユネスコの世界文化遺産に登録された。カタロニアでは伝説の巨人となり、バスク語の「巨人」を意味する語は、ローランのバスク語読みに由来するともいわれる。ダンテの『神曲』では、ローランの魂は殉教者たちとともに天国にいるとされる。

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