HISTORICAL PERSON · 1000年没

ソルビョルン・ホルンクロヴィ

9世紀のノルウェーの詩人(スカルド)で、ハーラル美髪王の宮廷詩人の一人。現存する二つの詩は王の宮廷生活や戦いでの勝利を詠み、王がデンマーク人の妻を迎えたことにも触れ、王のサガに抜粋で伝わる。

生涯
1000年没
死亡地
—
出生地
ノルウェー王国(オスロ / ノルウェー)
出典
世界地図
ノルウェー王国(オスロ)

伝記

ソルビョルン・ホルンクロフィは、ノルウェーの宮廷詩人(スカルド)である。ホルンクロフィは姓ではなく通り名で、「角の爪」を意味する。9世紀の人とされ、ノルウェー王ハーラル美髪王に仕えた宮廷詩人の一人として、『スカルダタール』に名が挙げられている。現代ノルウェー語ではトルビョルン・ホルンクローヴェと呼ばれる。没年は1000年と記される場合もあるが、活動は9世紀とされており、生涯の詳細はほとんどわかっていない。

『ファグルスキンナ』は、この詩人を「王たちの古い友で、常にその宮廷にいた人」と記している。作品は13〜14世紀に編まれた王のサガの中に引用されて残るため、ハーラル王についての当時のの情報源とみなされることもある。伝わるのは、いずれも抜粋でしか残らない二つの詩と一つの単独詩節で、『ハラルドの歌』(『ラヴンの言葉』ともいう)、『グリュムドラーパ』がそれにあたる。

『ハラルドの歌』は、9世紀末ごろに作られた王への賛美の詩であり、宮廷の暮らしぶりを伝える内容でもある。ハーラルがデンマーク人の妻を迎えたことや、ハヴスフィヨルドで勝利したことも述べている。一部は、ワルキューレと一羽のワタリガラスとの対話の形をとる。ワルキューレが、くちばしから血と死体の臭いを漂わせ、爪に肉をつけたカラスにどこから来たのかと尋ねると、カラスは生まれてからずっと戦士の王ハーラルに付き従ってきたと答える(第1〜6節)。詩はまず聴衆に耳を傾けるよう促し、これから語る対話を予告する。続いてハヴスフィヨルドの戦いが語られ、敵が逃げ去ってノルウェーの統一が成ったとされる(第7〜12節)。次に、ハーラルとデンマークの王女ラグンヒルドとの結婚が述べられ(第13〜14節)、最後に王の宮廷が描かれる。そこには戦士、スカルド、狂戦士、道化や曲芸師がいて、詩人は王の気前のよさをとくに強調する(第15〜23節)。「ラヴンの言葉」の名は、詩人のあだ名がカラスを指す詩的な言い換えであることに由来する可能性があるが、二つの題名はいずれも後世の命名で、元の史料には見えない。復元された形では、完全または半分の節あわせて23節が残る。

詩の韻律は、はじめがマーラハットル、のちにリョーザハットルという、エッダ詩に見られる古い型である。一行の音節数は4から9まで一定せず、内部の韻の配置も不規則で、そのため文体は「スカルド以前的」と評された。『ハムディルの歌』や『アトリの歌』のような最古のエッダ詩に近く、アトリの歌との文体の類似から、これも彼の作ではないかとする説も出たが、可能性は低いとされている。

『グリュムドラーパ』も王を称える詩で、規則的なドロートクヴェットの韻律で作られた、現存最古のドラーパとされる。残るのは七つの節と二つの半節で、おもに『ハーラル美髪王のサガ』に引かれている。スノッリ・ストゥルルソンの提示によれば、若き日のハーラルの戦いを詠んでおり、オルクダール(オルクダルの人々)との森での戦い、ソルスケルでの二度の海戦、ゴート人との戦い、そしてヴァイキングを討つために西へ遠征し、シェトランド、オークニー、ヘブリディーズ諸島、スコットランド、マン島に至った遠征が挙げられる。詩人はそれぞれの出来事に二節ずつ割いたと思われる。ハーラル最大の戦いであるハヴスフィヨルドの戦いが欠けている理由については、すでに別の詩で扱ったためだとも、詠んだ節が忘れられたためだともいわれる。

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