HISTORICAL PERSON · 紀元前732没

メレス

リュディアの半ば伝説的な王。ヘロドトスによればヘラクレス朝の第21代で、最後から2番目の王にあたり、子のカンダウレスが後を継いだ。

生涯
紀元前732没
死亡地
—
出生地
—
出典
世界地図
位置情報未登録

伝記

メレスは、リディアの半ば伝説的な王である。ミュルソスの名でも知られる。紀元前8世紀ごろの人物とされ、ヘロドトスによれば、ヘラクレス家(ヘラクレイダイ)の王朝の21番目の王で、最後から2番目の王にあたる。この王朝はヘラクレスの子アルカイオスの子孫とされ、ヘラクレスと、イアルダノスの奴隷女との間に始まって22代、505年にわたり、父から子へと王位が受け継がれたと伝えられる。最初の王はニノスの子アグロン、最後の王がメレス(ミュルソス)の子カンダウレスである。

在位の年代には諸説がある。一つの伝承では、父アリュアッテス1世の跡を紀元前745年に継ぎ、前733年まで在位して、子のカンダウレスに譲ったとされる。別の説では、エウセビオスの年代記にもとづき、前729年から前717年まで統治したともいう。また『簡略年代記』は、メレスがアリュアッテスの後継者で、12年間在位し、カンダウレスが跡を継いだとする。ヘロドトスはカンダウレスの父をミュルソスと呼んでおり、エウセビオスの年代記ではミュルソスの治世がメレスとカンダウレスの間に置かれるため、両者を同一人物とみるか別人とみるかで説明が分かれる。カンダウレスは、のちにリディアのギュゲスに殺されたとされる。

ダマスコスのニコラオスは、メレスについて次のように伝える。王国内でメルムナス家の一員ダスキュロスが殺される事件があり、この不敬な殺人のために国に飢饉が起こった。神託は、この罪を償わねばならないと告げた。そこでメレスはバビロンに3年間身を退き、その間、カデュスの子サデュアッテスに権力をあずけたという。

ヘロドトスは、首都サルディスにまつわる逸話を二度記している。メレスの側女の一人が獅子を産み、テルメッソスの神託は、その獅子を連れて城市をめぐれば、サルディスは難攻不落になると告げた。メレスは獅子に城市を回らせたが、最も険しい城塞の崖の側だけは回らせなかったという。同じ話は、神託を受けて築いた城壁を三方にだけ造り、残る一方は切り立った崖で攻め落とせないと考えられていた、という形でも伝わる。いずれにせよ、紀元前546年、ペルシア王キュロスの軍はまさにその崖を通ってサルディスを奪ったとされる。

これは、都市を巡って守る古代ギリシア世界の「めぐり歩き」の呪術的な力を示す好例とされる。メレスの没年は紀元前732年とされるが、その生涯について確かなことは多くなく、史実と伝承が入り混じったまま語られている。

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