伝記
トム・クランシーは、本名をトーマス・レオ・クランシー・ジュニアといい、1947年4月12日にアメリカのメリーランド州ボルチモアで生まれた小説家である。軍事や諜報活動を扱うテクノスリラー小説を数多く執筆した。ボルチモアで保険代理店を営みながら、余暇に書いたデビュー小説『レッド・オクトーバーを追え』(1984年)がベストセラーとなり、のちの軍事シミュレーション小説の先駆けとなった。この作品はアメリカの政府関係者から絶賛され、映画にもなって、彼は一躍流行作家の仲間入りを果たした。最新鋭のソ連の原子力潜水艦が、アメリカへの亡命を希望し、ソ連に亡命を悟らせずに艦を手に入れる方法を描いた物語である。近未来の政治サスペンスや、娯楽アクション大作を得意とした。
代表作は、元株式ブローカーで軍事史家の中央情報局分析官ジャック・ライアンを主人公とする「ジャック・ライアン」シリーズである。『愛国者のゲーム』(1987年)では、休暇中のライアンが偶然、テロリストによるイギリス皇太子の襲撃を阻止する。『クレムリンの枢機卿』(1988年)は、ソ連高官のなかに潜むスパイの救出を描き、『いま、そこにある危機』(1989年)は、コロンビアの麻薬カルテルの壊滅に送り込まれた特殊部隊が見捨てられる物語である。『恐怖の総和』(1991年)ではテロリストによる核テロが描かれ、『日米開戦』(1994年)では、日本の経済的支配者がアメリカに戦争を仕掛け、ジャンボジェット機を議会議事堂に突入させる描写が、9.11テロの後に話題になった。『レインボー・シックス』(1996年)は国際テロに対する多国籍の特殊部隊の物語で、ほかに『国際陰謀』シリーズや、『オプ・センター』の共著シリーズもあり、いずれもヒットした。アメリカ軍を取材したノンフィクションも書き、ヒストリーチャンネルなどに出演して軍事について語った。
1996年には、自ら開発に携わったゲームを発売し、その翌日に、イギリス海軍の潜水艦艦長だった経験のあるダグラス・リトルジョンズとゲーム会社を設立した。自分の名を冠したタイトルを開発して売り、なかでも『レインボーシックス』と『ゴーストリコン』は人気作となってシリーズ化された。この会社は2000年8月にユービーアイソフトに買収され、以後『スプリンターセル』など、彼の名を冠したゲームが販売されている。
2013年10月1日、ボルチモアで死去した。66歳だった。死の数年前に心臓発作でバイパス手術を受けていた。『ジャック・ライアン』シリーズの小説は、『ライアンの代価』から共著者として名を連ねていたマーク・グリーニーが引き継ぎ、『米朝開戦』以後はグリーニーが単独で執筆している。2018年には、このシリーズの設定に基づくドラマシリーズの配信も始まった。
同じ年に亡くなった人物
- ナイジェル・ダヴェンポート (2013年没)
- ジェス・フランコ (2013年没)
- James Bradford (2013年没)
- コンラッド・ベイン (2013年没)
- トミー・モリソン (2013年没)
同じ地域に関係する人物
- Ralph Hills (1977年没)
- エヴァ・キャシディ (1996年没)
- ジョン・マネー (2006年没)
- チャーリー・バード (1999年没)
- エステス・キーフォーヴァー (1963年没)