伝記
クリス・コーネルは、本名をクリストファー・ジョン・ボイルといい、1964年7月20日にアメリカ合衆国のシアトルで生まれたシンガー、ギタリスト、ソングライターである。声域は4オクターブに及んだ。父はアイルランド系のカトリック教徒で薬剤師のエド・ボイル、母はユダヤ系の会計士カレン・コーネルである。両親が離婚した後、クリスと5人のきょうだいは母の旧姓のコーネルを名乗った。子だくさんで親の目が届かず、寂しい幼少期を送ったという。両親は飲酒の問題を抱えていたとも伝えられ、家庭の環境は落ち着かなかった。
カトリックの小学校に通い、のちにショアウッド高校に進んだ。非常に好奇心が強く、宗教上の教えに疑問を投げかけてやまず、教師たちはその扱いに困ったという。成長してからは自らを自由思想家と考えた。9歳から11歳のころには、隣人の家の地下室に捨てられていたレコードの山を見つけ、ビートルズばかりを聴いて過ごした。とても内気だったが、学校に興味のない友人たちとは絆を結び、その一人ケヴィン・ティソは、のちにサウンドガーデンの曲のもとになった。14歳のときにフェンサイクリジンを経験し、パニック障害を患って、広場恐怖症のため16歳まで友達もなく、引きこもって空想をめぐらせる子どもだった。ほとんど学校に行かず、中退したのち、音楽活動を始めた。早くから大量の酒を飲み、20代後半には薬物に手を出して、依存症になった。
ロックバンド、サウンドガーデンでは1984年から1997年までボーカルを務め、1991年の『バッドモーターフィンガー』や、高い評価を得た1994年の『スーパーアンノウン』で、1990年代の初めに世界的な名声を得た。ルームメイトだったアンドリュー・ウッドの追悼のために結成された、一度限りのトリビュートバンド、テンプル・オブ・ザ・ドッグの中心にも立った。2001年には、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの元メンバーと、オーディオスレイヴを結成し、2007年まで在籍した。ソロでは4枚のアルバム、1999年の『ユーフォリア・モーニング』、2007年の『キャリー・オン』、2009年の『スクリーム』、2015年の『ハイヤー・トゥルース』を出した。2006年には映画『007 カジノ・ロワイヤル』の主題歌「ユー・ノウ・マイ・ネーム」を歌い、アメリカの男性歌手としては、ボンド映画の主題歌を初めて歌った。生涯に3千万枚以上のレコードを売り、グラミー賞を3回受賞した。イギリスの音楽誌が選ぶ「歴史上最も偉大な100人のシンガー」では、第93位に入った。内省的で詩的な歌詞は、孤独や実存といった主題を扱った。2006年1月の音楽誌の企画では、デュラン・デュランの「ワイルド・ボーイズ」を、お気に入りの名曲に挙げている。使った楽器には、ギブソンのES-335や、ジョー・ストラマーへの憧れから選んだフェンダーのテレキャスターがある。
2017年5月17日、サウンドガーデンのツアーで訪れたデトロイトのホテルで死去した。52歳であった。当初は死因が公表されなかったが、のちに遺体の状態から、自殺の可能性が高いと発表された。
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