HISTORICAL PERSON · 紀元前460没

Agatharchus

紀元前5世紀のサモス出身の独学の画家。ウィトルウィウスによれば舞台背景画を発明し、遠近法を導入したと考える説もある。

生涯
紀元前460没
死亡地
—
出生地
ギリシャ共和国(北エーゲ / サモス)
出典
世界地図
ギリシャ共和国(北エーゲ)

伝記

アガタルコスは、紀元前5世紀に活動した古代ギリシアの画家である。サモス島の出身で、師につかず独学で画家になったとされる。父の名はエウデモスという。生没年は分からないが、没年は前460年ごろとされる。

ウィトルウィウスは、アガタルコスが舞台背景画を発明し、アイスキュロスが上演した悲劇のために舞台の景を描いたと述べる。このためカール・ヴェルマンらは、アガタルコスが絵画に遠近法と、実物のように見せる写実表現を持ち込んだと考えた。ところがアリストテレスは、舞台背景画を導入したのはソフォクレスだと述べており、両者は食い違う。そこで一部の研究者は、ウィトルウィウスの言葉を、アガタルコスが舞台を組み立てたという意味にすぎないと解する。しかしウィトルウィウスはその先で、デモクリトスとアナクサゴラスが、アガタルコスの著した論述の原理に従って同じ主題を書いたと述べており、文脈から見て遠近法による絵画を指すのは明らかだとされる。デモクリトスとアナクサゴラスが書いたのは、素描において、線を自然な比例に従って描くための方法だった。目を一定の視点とし、そこから見る対象の各点へ光線の束が走るとき、その間に想定した平面上に描かれる像に線を対応させる、というものである。アガタルコスは、舞台背景画の著作を書いたとも伝えられる。

舞台背景画が導入されたのはアイスキュロスの経歴の終わり近くで、広く使われるようになったのはソフォクレスの時代だったと考えられ、アリストテレスの言葉もそれで説明できるという。これらから、アガタルコスは大規模に遠近法を用いたことが知られる最初の画家とされる。壺絵には前6世紀の半ばごろにも遠近法がまれに現れるものの、それは大規模なものではない。また、のちのアポロドロスなどの画家に道を開いたともいわれる。

アガタルコスはアルキビアデスやゼウクシスと同時代の人で、作品を仕上げる速さと容易さでしばしば取り上げられた。ゼウクシスとは、どちらがすぐれた芸術家かをめぐって論争したともいい、アガタルコスは、自分のほうが作品を速く仕上げるから自分だと主張したという。動物を描く腕前でも名が高かったとされる。プルタルコスとアンドキデスは、アルキビアデスがアガタルコスを自分の家へ誘い込み、3か月以上も厳しく閉じ込めて家の絵を描かせたという逸話を伝える。アンドキデスの該当する弁論は、メロス島の破壊(前416年)の後、シチリア遠征(前415年)の前に行われたと見られ、そこからアガタルコスの活動の時期を確かめられる。

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