伝記
ルキウス・アフラニウスは、紀元前1世紀の初めごろに生きた古代ローマの喜劇詩人である。ローマの情景や風俗を描くトガータ劇(ファブラ・トガータ)の作者として知られる。トガータとは、ローマ人の典型的な衣であるトガに由来する呼び名で、ギリシア風の外套にちなんでパッリアータと呼ばれる、ギリシア劇に基づく喜劇と区別するためのものである。
トガータ劇は、ギリシアの手本から離れ、ローマの伝統や環境に根ざした風俗劇を作るためにティティニウスが創始した形式とされる。アフラニウスはこの分野でもっとも多作で、もっとも完成度が高い作者といわれ、とくに家庭生活をめぐる題材で、庶民の社会や家族の姿をよく見抜いた書き手とされた。作品の題材は多く下層階級の生活から取られ、居酒屋を舞台にしたタベルナリア劇とも呼ばれる。ローマの暮らしをあまりに正確に描いたため、ギリシアの喜劇詩人メナンドロスに並べて論じられた。実際にメナンドロスから大きな影響を受けており、喜劇『コンピタリア』の序文からは、メナンドロスを利用したことを自ら認めていたことがわかる。テレンティウスにも倣ったらしいともいう。文体はガイウス・ティティウスにならったとされ、その言葉づかいはキケロに称賛された。古風な語法を含みつつも親しみやすく、頭韻や語尾の韻を踏むなど音の技巧に富み、よく使う韻律はセナリウスなどであった。
評価は高く、クインティリアヌスやアウルス・ゲッリウス、ホラティウス、キケロといった批評家や著作家が言及している。ただしクインティリアヌスは、トガータ劇ではアフラニウスが傑出していると述べつつ、筋立てを少年への不適切な恋愛で汚したと惜しんだ。通常は、アフラニウス自身の嗜好の告白と受け取られる。一方、引用された断片に少年愛や卑猥さの跡がないことから、少年たちが繰り広げる評判の悪い恋愛と解すべきだとする説もある。
作品は少なくとも42〜43の題名が伝わるが、現存するのは約600行の断片にとどまる。それでも帝政期になっても読まれ続け、上演もされた。そのうち『火事』は、ネロの時代にも舞台にかけられた。作品は4世紀の末ごろまで知られていたようである。
同じ年に亡くなった人物
- グナエウス・ドミティウス・アヘノバルブス (紀元前96年の執政官) (紀元前89年没)
- マルクス・アエミリウス・スカウルス (紀元前89年没)
- ビテュニアのテオドシオス (紀元前 89年)
- ティトゥス・ディディウス (紀元前89年没)
- ルキウス・ポルキウス・カト (紀元前89年没)
同じ地域に関係する人物
- Cornelia (紀元前67)
- アレクサンデル6世 (ローマ教皇) (1503年没)
- エットーレ・マンニ (1979年没)
- ヴィテルボのアンニウス (1502年没)
- ジョヴァンニ・グロンキ (1978年没)