伝記
ナルキッスス(ナルキッソス)は、2世紀のローマの運動選手で、おそらくレスラーだったとされる人物である。皇帝コンモドゥスを192年に暗殺したことで知られる。奴隷身分であったともいわれ、没年は193年とされる。
ナルキッススは、コンモドゥスに雇われ、レスリングの相手および個人トレーナーを務めた。皇帝は、コロッセウムで剣闘士として人前に姿を見せることに熱中しており、その出場に備えて武器の扱いなどを鍛えるための役だったという。その試合は、あらかじめ仕組まれた戦いだったとされる。コンモドゥスは治世の終わりごろには疑い深くなり、とりわけ自分を倒そうとしていると疑った身近な人々に対して粛清を重ねたとされる。
192年、近衛長官クィントゥス・アエミリウス・ラエトゥスに率いられた数人の元老院議員たちが、ナルキッススを暗殺に引き入れた。それは、陰謀者たちによる先の試みが失敗したあとのことだったといわれる。ラエトゥスのほか、宮廷の侍従エクレクトスや皇帝の愛妾マルキアも、失脚の危険にさらされていたため、先手を打ったと考えられている。ナルキッススは、多額の報酬の約束と、自分も処刑者の名簿に載せられたことへの個人的な恨みに動かされたともいわれる。
192年12月31日、マルキアは皇帝の酒に毒を入れた。しかし毒は思うように効かず、皇帝は嘔吐して、気を取り直すために浴場へ向かったともいわれる。そこでナルキッススは皇帝の寝室や居所に招き入れられた。コンモドゥスは酔ってぐったりしていたとされ、ナルキッススは皇帝を絞め殺した。場所は浴槽の中であったともされるが、ヘロディアヌスは寝台の上と伝える。
コンモドゥスの死後、ローマは内戦の時代に入った。ナルキッススはこの一連の内戦のさなか、皇帝殺害の犯人として処刑されたという。その時期は翌年にあたる。ナルキッススを題材にした作品としては、2016年にネットフリックスが製作し放送したドキュメンタリー・シリーズ『ローマ帝国 血の統治』があり、主要な登場人物の一人として描かれた。映画『グラディエーター』の将軍マキシマスは、ナルキッススらをもとにした人物ともされる。
同じ年に亡くなった人物
- ペルティナクス (193年没)
- ディディウス・ユリアヌス (193年没)
- Marcia (193年没)
- クラウディウス・ポンペイアヌス (193年)
- マヌリア・セカンティッラ (193年)
同じ地域に関係する人物
- リュシアン=ルイ・ボナパルト (1895年没)
- アダルベルト・リベラ (1963年没)
- ガブリエレ・ティンティ (1991年没)
- ルキウス・アエミリウス・パウルス・マケドニクス (紀元前160年没)
- オットカール1世 (シュタイアーマルク辺境伯) (1075年没)