伝記
クラウディオス・アイリアノス(クラウディウス・アエリアヌス)は、175年頃に生まれ235年頃に没したとされる古代ローマの著述家である。ローマ近郊のプラエネステ(現在のパレストリーナ)の出身で、修辞学の教師でもあった。セプティミウス・セウェルス帝の時代に活動し、エラガバルス帝が222年に死んだ後もおそらく生きていたと考えられている。
ローマ生まれでありながらギリシア語を非常に流暢に操り、「蜜の舌をもつ者」と呼ばれたという。著作はすべてギリシア語で書かれ、ラテン語の著者は一人も名を挙げず、ギリシアの著者を好んだ。文体はやや古風なギリシア語であった。古代末期には教師として多くの人々から尊重されたとされる。
主著の一つ『動物の特性について』は全17巻からなり、動物にまつわる短い話を集めた書である。教訓を伝えるために選ばれた話もあれば、驚きのために選ばれた話もある。ストア派の考えに基づき、楽しませながら教えを伝えることを意図した雑録とされる。話の大半は、大プリニウスらの書物や、今は失われた著作など、文献から取られており、直接の観察に基づくものは少ない。ただし海の生き物には特に注意を払い、しばしば「漁師たち」の話を引いている。ひどく信じやすいと見える箇所がある一方、人から聞いた話を伝えるだけで自分は信じないと断る箇所もある。同書には、サルデーニャやコルシカ沖で冬を過ごし波打ち際で人を襲う「海の羊」(シャチと解されることが多く、イッカクとする説もある)や、ムカデクジラに当たる「スコロペンドラ」への言及があり、ギルガメシュの名を挙げる現存唯一のギリシア・ローマ時代の著作でもある。この書は中世の博物誌や動物誌の源泉の一つとなり、ルネサンス期のスイスの博物学者コンラート・ゲスナーがラテン語に訳して、ヨーロッパでより広く知られるようになった。『動物の特性について』の英訳は1958年から59年にかけてローブ古典叢書の3巻本として刊行された。日本語訳には『動物奇譚集』全2巻(2017年)がある。
もう一つの代表作『ギリシア奇談集』(『ヴァリア・ヒストリア』)は全14巻の雑録で、多くは要約された形で伝わる。逸話、伝記的な小品、格言、自然の驚異、各地の風習、ギリシア絵画への論評などを収め、有名な哲学者や詩人、歴史家、劇作家の逸話や、教訓的に語り直された神話も含まれる。英雄や支配者、競技者、賢者をめぐる教訓話が中心で、毛糸と羽根の疑似餌による毛針釣りや漆工芸、蛇の崇拝なども記される。いわば古典古代の「雑誌」であり、細部は完全には信頼できないが、ジェーン・エレン・ハリソンは、そこに見える古い儀礼の名残が自著の研究に有益だと見た。1545年に初めて印刷された。現在の標準的な校訂本は1974年のディルツ版である。英訳は1576年のフレミング訳と1665年のスタンリー訳が早く、その後は長く途絶えたが、1990年代に相次いで新訳が出た。日本語訳には1989年の岩波文庫版がある。
このほか『摂理について』と『神の顕現について』の断片が、中世初期の事典『スダ』に残る。アルキプロンにならった『農夫の手紙』20通も彼の作とされる。アッティカの農村を舞台とする架空の手紙だが、本人はイタリアの外へ出たことも船に乗ったこともないと自慢したという。ただし、牛のセラピスを自分の目で見たと書く箇所があり、この自慢とは食い違う。
同じ年に亡くなった人物
- ウルバヌス1世 (ローマ教皇) (230年没)
- マリウス・マキシムス (230年没)
- 聖セシリア (230年)
- レムノスのピロストラトス (230年)
- 鍾繇 (230年没)
同じ地域に関係する人物
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- ピウス4世 (ローマ教皇) (1565年没)
- スピキオーネ・ボルゲーゼ (1633年没)
- ルキウス1世 (ローマ教皇) (254年没)
- ラフ・ヴァローネ (2002年没)