伝記
スザンヌ・プレシェットは、1937年1月31日にニューヨーク市ブルックリン区で生まれたアメリカの女優である。祖父母はロシアやオーストリア=ハンガリーから移ったユダヤ系の移民で、父ユージーンはブルックリンの劇場で舞台主任や支配人を務め、母ジェラルディンは芸名で活動するダンサーだった。舞台芸術の高校を出たのちシラキュース大学で短期間学び、さらにフィンチ・カレッジにも通った。俳優のジョン・プレシェットはいとこにあたる。
1950年代後半に舞台女優として出発し、1957年にはブロードウェイに立った。1958年にはヘレン・ケラーの半生を描いた『奇跡の人』でアン・サリバンを演じて注目を集めている。当時の評論家は、漆黒の髪と灰色がかった青い眼が冷ややかな気品を備え、低い声に情熱的な響きがあると称賛した。エリザベス・テイラーを思わせる美貌と舞台での成功から将来を嘱望されて映画界に入り、1962年には『恋愛専科』でトロイ・ドナヒューと共演した。1963年にはアルフレッド・ヒッチコック監督の『鳥』で、劇中で命を落とす女教師アニー・ヘイワースを演じた。ただ、映画での活躍は期待されたほど大きくは伸びなかった。
私生活では、1964年にドナヒューとローマで結婚して話題をさらったが、八か月ほどで離婚した。1968年には石油業を営むテキサスの実業家トム・ギャラガーと再婚し、ギャラガーが肺癌で世を去るまで連れ添った。2001年には俳優トム・ポストンと結婚している。テレビドラマ『逃亡者』で共演した俳優デビッド・ジャンセンとは交際があり、彼の葬儀では弔辞を読んだ。
1960年代後半からは主役級の仕事から遠ざかり、脇役や端役を演じることが増えたが、性格俳優、助演俳優として仕事を続けた。『逃亡者』『刑事コロンボ』『インベーダー』などの人気シリーズにゲスト出演し、ディーン・ジョーンズと組んだディズニーの喜劇でも親しまれた。共演者にはトニー・カーティス、スティーブ・マックイーン、ロック・ハドソン、バート・レイノルズ、ジェームズ・ガーナーらがおり、1966年の西部劇『ネバダ・スミス』や、1968年のディズニー作品『ブラックビアードの幽霊』にも顔を見せている。映画のスクリーンに最後に登場したのは1980年で、その後はテレビ映画や、『ウィル&グレイス』などのシリーズへの出演が中心になったという。2004年まで撮影の仕事を続けたともいわれる。1972年から1978年にかけては『ボブ・ニューハート・ショー』でエミリー・ハートリー役を演じ、エミー賞に何度か候補として挙げられた。声の仕事にも進み、日本のアニメ映画『千と千尋の神隠し』の英語版では湯婆婆と銭婆の声を担当し、『ライオン・キング2』でも声の出演をした。また、『バットマン』の悪役キャットウーマンや『ハート・トゥ・ハート』のジェニファー・ハート役の話を受けながら、ほかの女優に譲ったことがあるとされる。
2006年8月、肺癌を患って化学療法を受けていることが公表された。2008年1月19日、ロサンゼルスで肺癌により亡くなり、ヒルサイド・メモリアル・パークに葬られた。
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