伝記
カルロス・ルイス・サフォンは、1964年9月25日にバルセロナで生まれ、2020年6月19日にロサンゼルスで没したスペインの小説家である。のちにアメリカ合衆国のカリフォルニア州ロサンゼルスに住み、文筆業のかたわらフリーの脚本家としても活動した。
バルセロナ生まれの彼は、サリアのサン・イグナシ校でイエズス会の教育を受け、のちに情報科学部に入った。ところが1年目のうちに広告業界で働かないかという話が舞い込んだ。やがて世界的な広告代理店マッキャンのバルセロナ支社でクリエイティブ・ディレクターを務めるまでになったが、1992年に広告の仕事を離れ、文学に専念して作家になる道を選んだ。早くから文学への志があった理由は自分でも分からないと語っていた。ただ、家に文学の伝統はなかったものの、父にとって読書や本の世界はとても大切なものだったと振り返っていたという。
1993年、最初の長編『霧の王子』を発表して第1回エデベ賞(児童文学賞)を受賞し、デビューした。幼いころから映画とロサンゼルスの街に魅了されていた彼は、この賞金を使って夢を叶え、アメリカへ渡って定住した。最初の数年は脚本を書きながら新しい小説も書き続けた。続く『真夜中の宮殿』(1994年)、『九月の光』(1995年)も若い読者に向けた作品で、最初の作品とあわせて霧の三部作をなす。1999年の『マリーナ』も同じく青少年向けで、彼自身はこの作品に特別な愛着を持ち、自作の中でいちばん個人的な作品だと考えていた。この時期には映画と自身の執筆技法との結びつきが強まったという。
2000年に『風の影』を書き上げた。成人読者向けの初めての小説で、その年のフェルナンド・ララ小説賞に応募した。審査員の一人テレンシ・モイクスの強い働きかけにより、公式な言及こそないものの最終候補に残った。出版社プラネタは数か月後に、しぶしぶ刊行したとされる。スペインでの浸透は当初は難しく遅かったが、多くの言語に翻訳され、世界で最も売れたスペイン作品の一つとなった。2001年刊行の5作目の長編にあたるともされ、フェルナンド・ララ小説準賞(2001年)、リブレテール賞(2002年)、バングアルディア紙読者賞(2002年)の三賞を受けたとされる。日本では2006年に刊行され、講談社の雑誌が毎年選ぶ「文庫翻訳ミステリー・ベスト10」で第1位となった。数々の申し出があったにもかかわらず、彼は映画化を許さなかった。読者が読み始めたときに頭に浮かぶ映画以上のものは作れず、映像化は余計で不要だと考え、ほとんど「裏切り」だと見ていたからである。
『風の影』は《忘れられた本の墓場》四部作の第1作となった。第2作『天使のゲーム』は2008年に刊行され、初版は100万部で、カタルーニャだけで25万部を売った。第3作『天国の囚人』は2011年、第4作『霊たちの迷宮』は2016年に出た。作者は第4作を、迷宮の要石であり、何年も前から夢見ていたなかで最も手間のかかった本だと語った。2012年には新聞に短編「火のバラ」が掲載され、伝説の墓場の起源が描かれた。2020年には短編集『蒸気の都市』が刊行された。
2018年から大腸癌を患い、2020年6月19日、ロサンゼルスで55歳の生涯を閉じた。没後5年を経ても最も広く読まれるスペイン人作家とされ、販売は5000万部を超え、50を超える言語に翻訳されているという。
同じ年に亡くなった人物
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- ケヴィン・コンウェイ (俳優) (2020年没)
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- ジョン・デイヴィス (2020年没)
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