伝記
オリュンピオドロスは、アレクサンドリアの新プラトン主義の哲学者であり、占星術師でもある。495年ごろに生まれ、570年に没したとされるが、565年より後に没したともされる。同じくアレクサンドリアの5世紀のペリパトス派哲学者である大オリュンピオドロスと区別するため、小オリュンピオドロスとも呼ばれる。助祭として聖書の注解書を著した同時代のアレクサンドリアの著述家とは別人である。
東ローマ帝国の初期、529年のユスティニアヌスの勅令によってアテナイのアカデメイアなど異教の学校が閉鎖された後の時代を生きた。アレクサンドリアの哲学学校でアンモニオス・ヘルメイウの弟子となり、520年ごろにアンモニオスが没すると、その学校を引き継いだ。565年になお教え、著述していたことは、『気象論注解』にその年に現れた彗星への言及があることから知られる。異教徒としてアレクサンドリアのプラトン主義の伝統を最後まで守った人物とされ、彼の没後、学校はキリスト教徒のアリストテレス学者の手に移り、やがてコンスタンティノープルへ移された。
同時代の多くの仲間は迫害を受けたが、オリュンピオドロス自身はそれを生き延びることができた。その理由は、アレクサンドリア学派が政治にあまり関与せず、アテナイのアカデメイアよりも学問的で宗教色が薄いと見なされたためだろうと推測されている。
著作には、プラトンの伝記、プラトンの対話篇の注解、アリストテレスの注解と入門書がある。現存するのは、『アルキビアデス注解』『ゴルギアス注解』『パイドン注解』『プラトン伝』『アリストテレス論理学入門』『気象論注解』『カテゴリー論注解』『命題論注解』、そしてストラトンに対する論争的な作品である。また、アレクサンドリアのパウロスの『占星術入門』への注解も残る。これは564年の5月から7月にかけてアレクサンドリアで行った講義の概要だとする説があり、簡潔なパウロスの原典を、実践や典拠にふれながら詳しく解説し、パウロス以後200年間の占星術理論の展開も明らかにしている。さらに、オリュンピオドロスの著作は、他には見られない先達イアンブリコスの作品についての情報を伝えている。
錬金術に関する論考や『ピレボス』注解も彼の作とされてきたが、現在では別の著者のもの、後者はダマスキオスの作と考えられている。『プラトン伝』は日本語に訳されており、戸塚七郎訳が1977年に角川書店の『プラトン全集 別巻』に、また2008年には京都大学学術出版会の西洋古典叢書『プラトン哲学入門』に収められている。
同じ年に亡くなった人物
- ヨハネス・ピロポノス (570年没)
- アブド・アッラーフ (570年没)
- ワルデラータ (570年没)
- ギルダス (570年)
- Abraha (570年)
同じ地域に関係する人物
- アルシノエ2世 (紀元前260年代没)
- サイード・ダルウィーシュ (1923年没)
- ムハンマド・アブドゥフ (1905年没)
- イブン・ジュバイル (1217年没)
- ムスタイーン (1430年没)