伝記
ニカイアのパルテニオスは、ギリシアの文法家・詩人である。ビテュニアのニカイア、あるいはミュルレイアの出身とされる。『スーダ』によれば父はヘラクレイデス、母はエウドラであり、ベリュトスのヘルミッポスによれば母の名はテタだったという。生年は伝わらず、没年は紀元前100年とされているが、ティベリウスの即位の時まで生きたともいわれる。
彼はミトリダテス戦争のさなかにヘルウィウス・キンナに捕らえられ、紀元前66年にローマへ連れて行かれた。その後ネアポリスを訪れ、マクロビウスによればそこでウェルギリウスにギリシア語を教えたとされる。
詩人としては、とくに哀歌、なかでも挽歌と、短い叙事詩を書いた。同時代には散文ではなく詩によって知られていた。作品として、アレテー、アルケライスへの挽歌、アフロディテ、ビアス、デロス、クリナゴラス、レウカディアイ、アンティッペ、アウクシテミスへの挽歌、イドロファネス、ヘラクレス、イピクロス、変身譚、プロペムプティコン(旅立ちを送る詩)などの題が挙げられ、ギリシア語原典の『モレトゥム』も彼の作とされる。「最後のアレクサンドリア詩人」と呼ばれることもある。
唯一現存するのは『恋の苦しみ』(『エロティカ・パテーマタ』)である。序文によれば、この作品は「できるだけ短い形」でまとめられ、詩人コルネリウス・ガッルスに、素材を汲み出す「貯蔵庫」として捧げられた。歴史書や史実化された虚構、詩から採った恋物語の要約を三十六編集めたもので、いずれも悲劇的あるいは感傷的な結末を迎える。リュルコス、ポリュメラ、オイノネ、ビュブリス、ダプネ、ダプニスなど、神話や伝説の人物が取り上げられている。
パルテニオスは典拠を引用することが多いため、これらの物語はアレクサンドリアの詩人や文法家についての情報源としても価値がある。写本は九世紀半ばごろに書かれたとみられるハイデルベルクの一本のみで、地理、ヘシュキオスの抜粋、奇談集、書簡集、神話などが雑多に収められている。古代の著作で一本の写本にしか伝わらない例は少ない。刊本は、1531年にヤヌス・コルナリウスがバーゼルで出した初版に始まり、1798年、1843年、1858年、1916年のガスリーによる英訳付きの版などを経て、2000年にはライトフットが詩の断片と『恋の苦しみ』を併せた校訂を出した。2008年にはフランス語訳と注解も刊行されている。
同じ年に亡くなった人物
- マルクス・ミヌキウス・ルフス (紀元前110年の執政官) (紀元前 100年(推定))
- アッピウス・クラウディウス・プルケル (紀元前38年の執政官) (紀元前 100年(推定))
- アレタス3世 (紀元前100)
- シドンのアンティパトロス (紀元前 100年(推定))
- ディウィキアクス (紀元前100)
同じ地域に関係する人物
- ガイウス・フルウィウス・プラウティアヌス (205年没)
- アルカンジェロ・コレッリ (1713年没)
- ヌンチオ・マラソンマ (1974年没)
- ルキウス・クィンクティウス・フラミニヌス (紀元前170年没)
- ヨハネ23世 (ローマ教皇) (1963年没)